健康経営的視点で働く人々の習慣を変え、新しい習慣をつくる  

2022年1月27日 | Blog, News

~人は習慣の生き物! 健康経営を叶えるために知っておきたい『ナッジ理論』とは?~

 

 

今の時代、健康的な生活習慣や運動習慣などを促すための各種メディアやサービスが私たちの身の回りにあふれていますよね。

皆様も人生で一度はハウツーメソッドにトライしてみたことがあるのではないでしょうか。

 

私は職業柄たくさんの方の運動指導に携わり、そのような健康への取り組みについて聞く機会が多かったのですが、期待した効果がなく終了してしまう 方が多いように感じます。

原因を聞いてみると、「継続できず終わってしまった」という答えが多く聞かれました。つまり、方法やメソッドの良し悪しの前に“習慣化できないこと”に大きな要因があるようです。

 

では、この“習慣化”はどうすればできるようになるのでしょうか?

オフィスにおいても、健康という観点から、またビジネスパフォーマンス=生産性という観点からも1日を通して定期的に身体を動かす習慣をつけることは非常に重要なことです。

そこで今回は、習慣化や行動変容をしやすくするための『ナッジ理論』についてご紹介します。

 

『ナッジ理論』とは2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者リチャード・セイラ―教授が提唱した理論。

“ナッジ(Nudge)”とは人の行動に関わる文脈において、“人々が自分自身にとってより良い選択を自発的にとれるように手助けする方法や試み”という意味です。

 

私たちの身の周りでの例としては、食品や飲料の宣伝で用いられる糖質○○%オフなどがあります。糖質○○gまたは○○%含有と表現しても実質的には同じですが、糖質の摂取を気にしている人にとって前者の方が分かりやすく選択しやすいと言えます。

組織内においては、やってほしい事またはやってほしくない事を強制力のあるルールで促進したり禁止したりすることなく、個人の自由な選択が出来る環境を守りつつ、良い方向に誘導していくことです。

要するに、ナッジとは人の考え方や物事の受け取り方における“心のクセ”を上手く利用してより良い選択を促すと方法も言えるわけです。(ただし原則対象者にとって有益な選択結果をもたらす事が前提となるため活用にあたっては注意が必要です)その“心のクセ”には、3つの種類があります。[1]

 

限定合理性

⇒より端的に解釈しやすい選択肢を選ぶことで問題・課題を解決しようとする

限定自制心

⇒リスクやネガティブな情報をより強く感じる事が行動の選択肢に影響を与える

限定利己心

⇒相対的に他者と比較し同水準または一定水準以上である事を好む [2]

そして、これらの“心のクセ”を理解した上でナッジをうまく活用する代表的な方法を次に3つ紹します。皆様の会社での健康経営に活かせるものをぜひ見つけてみましょう。

 

デフォルトの工夫

対象者に選んでほしい選択肢を分かりやすく用意しておくことで、好ましくない選択肢を選ぶ確率が下がります。例えば、従業員の方が利用する食堂で最も手の届きやすいところや、目に入る位置によりヘルシーな食品を並べます。そうすることでジャンクフードを禁止、撤去することなく個人の選択として自然に健康的な食事を摂ることができます。[3]

フィードバックの仕組み

特定の行動(この場合健康的に好ましい行動)をしたときに即座にポジティブなフィードバックが返ってくることで、次も自発的にその行動を選択するため、習慣化に役立ちます。例えば、社内の階段に消費カロリーを表示することで自分の行動に対する消費カロリーがすぐに分かり、階段利用を促進できます。

インセンティブの提供

特定の行動や習慣を手に入れることで該当者がメリットを享受できるようにします。分かりやすい例としては、景品提供・ポイント加算などがあげられます。

オフィス内での健康習慣を定着させることは難しいと思われがちですが、この『ナッジ理論』に基づいて人の“心のクセ”を理解し、応用していく事できっと何か始められることがあるはずです。

私たちが提供する「Work Active®プログラム」も、しっかりとこれらの行動科学的視点を盛り込んでいます。

以下を一例としてご紹介します。

 

  ワークアクティブ アプリ           

 

 

1,デフォルトの工夫

導入の際に配布するスマートフォンで即利用可能なWork Activeの専用アプリをご用意しています。

 

2,フィードバックの仕組み

仕事の合間に「Work Active TRAINER」を使って体を動かしログを残すことで、アプリ内の変化していくアニメーションと他のメンバーたちとの競争を楽しめるデジタルコミュニケーション環境があります。

 

3,インセンティブの提供

日々の目標達成で加算されていくポイントとデジタルスタンプを獲得できます。またそれらとは別にチャレンジ企画に応じて社内で景品の用意も可能です。

 

他にも、ここでは紹介しきれない様々な仕組みがあります。健康経営に取り組むため、オフィスで実践可能な革新的ウェルネスソリューションにご興味を持っていただけましたら、いつでもワークアクティブサクセスマネージャーの新城までお気軽にお問合せ下さい。

 

 

参考:
1. Vallgårda, S., Health policy, 2012.
2. Kosters, M. and J. Van Der Heijden, Evaluation, 2015.
3. Arno, A. and S. Thomas, BMC Public Health, 2016.